IKKOのページ
経歴の紹介をしても仕方がないので、一つのエピソードをお話します。
私が「食」の分野に関わるきっかけは、高校の頃に覚えた登山にあったと思います。
山って不思議なもので、一度登ってその魅力に取り付かれると、もう、定期的に登らないと気がおさまらなくなるんですね。
だから、下りて来ると同時に次の登山の計画を考えてる。
で、だんだん回数が増えていくと、学生だからお金が続かなくなる訳でして、
何をコストダウンしようか?ということで、たどり着くのが、自炊による食費の削減だったのです。
でも、それまで料理なんてほとんど作った経験の無い男子高校生の集まりですから、
もう、不味いのなんのって!「この世にこんなに不味い食事があって良いのだろうか?。」って驚くくらいでした。
特に酷かったのが「ごはん」です。
最初はパンやビスケットを主食にしていたのですが、どうしてもかさ張ってザックの容量
を取りますし、何よりも腹持ちが悪くて、すぐにお腹が空いてしまう。当時の私たちは20kg〜30kgくらいを背負って縦走してましたから、空腹によるエネルギー切れはパーティー全体の機動力を物凄く落としてしまう深刻な問題だったのです。
で、米を持ち込んで、アルミ製のコッヘルとホワイトガソリンのコンロを使って炊いてみたのですが、これが酷かった!!
まあ、外見はどうやら「ごはん」に見えるのですが、表面はシャカシャカしていて、中はポリポリしてる。
食べたメンバーの半分以上が、消化不良(多分?)による腹痛・吐き気・下痢を起こしてしまいました。
「こりゃあイカン!」
次の日、同じテント場で、いかにも登山経験豊富(靴や装備が古くても手入れが行き届いてる!山ではそういう人が一番偉いんです。)という人を見つけて
「すみません!ごはんの炊き方を教えて下さい!」って頼んだのです。
「何だ!飯も炊けないのに!せっかくのコールマンのコッヘルやバーナーが泣くぞ!じゃあ、俺の飯と一緒に炊いてやるから見てろ!」
とても気さくで親切な人で、かなり事細かく説明をしながら、実に手馴れた感じで「ごはん」を炊き上げてくれました。
炊き上がった「ごはん」は、前日私たちが炊き上げた「ごはんモドキ」とは比べるのが申し訳ないようなツヤと香りを放ち、
その人も「おお、やっぱり一人分よりも上手く行くなあ!完璧だ。」と満足げでした。
でも失礼な事に、食べ始めてパーティーの一人が、
「確かにこれなら充分喰えるけど、何か旨みが無いんじゃないか?これって、奮発してササニシキ買ったんだよな?」って呟きました。
そう、その通りなのです。
「家で食べるごはんの方が、やっぱり美味いような・・・、家は安い米だったよ。」他のメンバーも言い出しました。
その人は、少し怒った様に、
「あのな、ここは標高2000mを越えてるんだ。下界と同じ様に炊くのは不可能さ。その証拠に山小屋の飯だって不味いぜ!知ってるだろ?山に来たんだから、美味いもの喰いたいなんて贅沢は言っちゃあイカンよ。」
考えてみれば、それもその通りでした。
その人には、パーティーの一人が隠し持っていたジョニーウォーカー(黒ではありません!)をお礼に渡し、テント場を後にしました。
でも、やっぱりまだ引っかかる!「山に来たら美味いもの喰いたいなんて言ってはイケナイ!」のでしょうか???
その晩のテントの中で起こった議論、この時、私たちの登山の大目的が決まりました。
「どうせ山に登るのだから、絶対に美味しいものを自分達で作ろう!」って。
同時に私はパーティーの調理長に任命されました。
あれから20年以上、私が「食」の分野の仕事をしているのは、炊飯の失敗があったからです。
e−hattoriへのお問い合わせは、
フリーダイヤル:0120-181249(イーハットリに至急)
フリーFAX:0120-842860(ハシップやろう)
eメールアドレスe-hattori@hattorigroup.com