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「煮る」湿熱式加熱(80℃〜100℃)
「煮る」という行為は、食品を鍋や釜に水や調味料と一緒に入れて熱を加えるという事ですから、「ゆでる」と同じなのですが、具体的には「ゆでる」から始まり、水分が少なくなって調味料を加えて行く段階で「煮る」状態に移行します。「ゆでる」での味付けは、塩分などに限定された下味程度にとどまりますが、「煮る」においては、味噌・醤油・香辛料・ニンニク、ショウガなどの香味野菜を使い、さらにしっかりと味付けを行うこととなります。
つまり、さまざまな調味料や香辛料、香味野菜の味と香りが水分の蒸発によって濃縮され、材料に沁み込んでゆく状態になるのが、「煮る」という状態です。
言い替えれば「煮る」は、非常に味付けがやりやすい加熱方法なのです。ただし、味付けが濃くなるほど焦げ付きやすくなりますので、注意が必要です。
この状態でも大切なのは、ある程度強火で沸騰に近い状態まで持って行った後は、中火又は弱火に火力を落とし、あまり水分を激しく対流させないという事です。
特に、肉や魚の場合、100℃でずっと加熱を続けますとタンパク質の凝固が進み、調味料が染み込み難くなってしまいます。同時に水分の蒸発が進みすぎ、調味料が濃縮されて味が濃くなってしまったり、焦げ付いてしまったりする原因となります。
また、野菜の場合は「ゆでる」で解説致しました通り、植物を構成する細胞同士の接着剤の役目をしているペクチンを壊さない様に沸騰(100℃)からやや下がった80℃〜90℃くらいの温度を維持してやると煮崩れや栄養素の損失が少なくなり、野菜本来の旨味や食感が失われにくく、美味しく仕上がります。
フードサービスで使われる「煮る」機器としては、「茹でる」と兼用できる蒸気煮炊釜(ライスボイラー)や、「茹でる」「焼く」「炒める」と兼用できるガス煮炊釜やティルティングパン、そしてスチームコンベクションオーブンなどが上げられます。
「煮る」における水加減
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水加減の呼び名
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ひたひたの水
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かぶるくらいの水
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たっぷりの水
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鍋や釜に入れた食品が水面から少し出ているくらいの水の量のことです。
アクの少ない食品(キャベツや白菜)や魚介類の加熱に適しています。 |
鍋や釜に入れた食品が全部水面の下に隠れている状態の水の量のことです。
卵や芋類、根菜、タケノコ、ブロック肉の加熱に適しています。 |
鍋や釜に入れた食品が水中を漂うくらいの状態の水の量のことです。
緑の野菜や、うどん・ソバ・スパゲティーなどの麺類の加熱に適しています。 |
「煮る」における火加減
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火加減の呼び名
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弱火
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中火
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強火
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湯が鍋底でポツポツと断続的に小さく水泡を上げる状態を保つくらいの火加減の事です。
硬い食品を柔らかく煮る時や、食品を焦げ付かせない様に煮る時に適しています。 |
湯が鍋底からやや大きめの水疱を上げる状態を保つくらいの火加減です。
煮物において最も一般的に多く使われます。 |
沸騰した湯から盛んに蒸気が立ちのぼり、激しい水泡が上がり、水面
が湯の対流で盛り上がっているくらいの状態を保つ火加減です。
煮物における初期段階の温度上昇(沸騰させる直前まで)に適している火加減で、必ず中火に移行させる必要があります。 |
「煮る」における呼び名と火加減
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呼び名
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解説
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火加減
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| ふくめ煮 |
多めの薄味の煮汁で煮て、火を止めてそのまま鍋の中で汁を含ませる(染み込ませる)方法です。 |
強火→中火 |
| 炊きあわせ |
別々に煮た含め煮などの煮物を盛り合わせることを言います。関西では煮ることを炊くと言います。 |
中火
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| 煮びたし |
多めの煮汁で、青菜などの煮汁を含ませやすい食品を煮たものです。野菜がたっぷりと食べられます。 |
強火→中火
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| 煮つけ |
魚や芋類、根菜などを、濃い味付けの少なめの煮汁で煮たものです。最後にほとんど煮汁が残っていないのが一般
的です。 |
弱火
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| 炒め煮 |
食品を先ず油で炒めて表面を固めるとともに、香ばしさをつけてから柔らかく煮る方法で、ブレイジングとも呼ばれています。 |
強火→中火
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| 蒸し煮 |
少なめの水・酒などと一緒に食品を火にかけて蓋をし、発生する蒸気をあてながら熱を通
す方法です。 |
弱火
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| 当座煮 |
一週間くらいは保存のきく味の濃い煮物です。つくだ煮ほど長くはもちませんが、「当座はもつ」という意味からこう呼ばれます。 |
弱火
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| グラッセ |
グラッセとは「氷、ガラス」という意味です。食品を、砂糖、水、バターと一緒にツヤ良く煮たものです。ニンジンや栗などのグラッセが知られます。 |
中火→弱火
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「煮る」の最前線
「はかせ鍋」という調理方法があります。
これを考案したのは早稲田大学理工学部応用物理学科の小林寛教授で、
氏は「ぐつぐつと摂氏100℃で煮込み続けるのは、食品の組織を壊し、ビタミンや酵素、食品本来の香りを飛ばしてしまうばかりか、肉などのタンパク質を硬くするし、その旨味を煮出してカスにしてしまう。鍋でひと煮立ちしたら、下ろして保温する{保温料理法}と名づけたこの調理法は、先ず味の染み込みが極端に良い。それは塩分、糖分、アミノ酸といった調味料は、鍋の中が冷めていく時に最もよく染み込むからで、旧来のぐつぐつ煮込み続けると味が付く、という常識は保温実験の積み重ねによってひっくり返された。しかも調味料は少なくて済む。次に沸騰し続けないから香りが飛ばない。香りは美味しさの60%を決めると言われるから大事だ。沸騰が続いて、プーンと部屋中に良いにおいが広がるのは、部屋だけを美味しくして、食品の香りを無駄
に捨てていることだ。あまり加熱せず、ゆっくり冷めるから、食品が硬く煮しまらない。そしてガス代が通
常の3分の1で済むのも大きなメリットだ。」と述べています。
以上 |